着物に慣れ親しんでいる方なら、「右前」が正しい襟合わせだということはご存知ですよね。もちろん浴衣も同じ。
夏は浴衣人口が一気に増える。その中には和服に慣れ親しんでいない方も多く、お祭りなどに行くと襟合わせが「右前」ではなく「左前」になってしまっている人を見かけることがある。
間違ってるよー!!と教えたくなってしまうのですが、間違いを指摘するのは果たして親切なのだろうか…?
着付けの間違えを指摘する場合、その後のことを考えるべき
間違いを指摘すること自体は悪いことではないと思っています。でもそれが相手にとってプラスなことになるかどうかは、相手との関係性と状況によるのではないだろうか。
間違いを指摘しないと相手にとってマイナスになる場合
基本的に浴衣は略装なので、かしこまった席で着ることはありません。しかし夏に浴衣で参加するイベントなどもありますよね。
例えば浴衣を「左前」で着てきてしまった人が人前に立つなり、多くの人の目を集める場合。
その時は指摘してあげた方が相手にとってもプラスになるはず。もし指摘しなかったら、大勢の人の前で恥をかいてしまう可能性があるのだから。
もちろん指摘して、着付けを直す時間があればの話です。直す時間がないのであれば、指摘したところでマイナスになってしまう可能性もある。これは相手の性格にもよるのかも。
指摘したことによってそれを笑のネタにできてしまうような人なら、直す時間がなくても指摘した方がプラスになるかもしれない。
逆に指摘することによって、自信を無くしたり動揺してしまう人には指摘しないのが優しさではないだろうか。
もちろん人それぞれ考えがあると思うし、これはあくまでわたしの意見。でも間違ったことを指摘することだけが正しいことではないですよね。
間違いを指摘しない方が相手にとってプラスになる場合
さきほどもちょこっとプラスになる場合に触れたけれど、指摘してプラスかマイナスになるのは状況と相手の性格によると思う。
性格に関しては知らない相手だと予測できない部分があるけれど、状況から指摘した方が良いか悪いかはある程度判断できるはず。
たとえば友達と一緒に浴衣を着てお祭りを楽しんでいる中学生くらいの女の子。彼女以外の子は浴衣をきちんと右前に着ているけれど、その子だけは左前。
そんな時は「浴衣が左前になっているよ」と指摘してあげた方がいいのだろうか?
この場合、わたしは指摘しないほうが相手にとってプラスになると思う。
なぜなら
おそらく自分で浴衣を着た訳ではないから、指摘したところでどうしようもない
友達との楽しい時間をぶち壊してしまう可能性がある
指摘した上で直してあげる時間や場所があったとしても、相手にとってそれが迷惑でしかないかもしれない。指摘されたことによって、楽しい気分もどこかに吹き飛んでしまう可能性だってある。
「左前」は死に装束。見る人から見たら恥ずかしいことなのかもしれない。でも左前のままだと死んじゃう訳ではないし、大至急どうにかしなければならないことではないですよね。
注意しなかったことによって、この子がその後もずっと左前で浴衣を着続けることになってしまう可能性は低いと思う。身近な人が指摘するなり何なりしてくれる可能性のほうがよっぽと高いのではないだろうか。
とにかく、余計な一言で楽しい時間をぶち壊してしまうのはマイナスだろう。
何のために指摘するの?
他人の間違いをわざわざ指摘する理由って何だろう。
単純に「親切心から」裏目に出て、おせっかいな人やうるさい人になってしまうなど、裏目に出てしまう場合を含めこれが一番多いのではないだろうか。
相手にとってどうであれ、純粋に親切心からの指摘なら悪くない気がする。もちろんそれによって嫌な気持ちにさせらたほうはたまったものではないし、相手の立場を考えた上で指摘すべきだが。悪気が無いなら仕方ない部分もありますよね。
で厄介なのは「相手より優位な立場に立ちたい」ゆえに注意している人。相手が間違っていることを分からせたい、自分が正しいことを伝えたい、相手に恥をかかせたい、ちょっと大げさですがどれも相手の事を上から注意して優位に立てる。
もちろんそんな意識から注意してます!と手を挙げて言う人はいないだろうけど、心のどこかにそんな気持ちがあったら相手の立場を考えないで注意してしまうんじゃないかなと。あくまで推測ですけどね。人間には相手より優位に立ちたいという本能的なものがありますし。
世の中には「お直しおばさん」なんていわれる人もいるらしい。わたしは未だかつてそういう方に出会ったことはありませんが、そういう人は心にそういう気持ちがあるんじゃないかな。
間違いを指摘すること自体は簡単なんですよね。でも大事なのは指摘したあと。そこまで考えられないのであれば、他人のことを指摘すべきじゃない。
外に出る前に間違いがないか確認を!
誰にでも間違いはあります。人間ですし、完全ではないのですから。わたしだってありますよ。
かなり前の話ですが、クラブのイベントに浴衣で参加したことがありました。その時はまだ自分で着付けができなかったから母親に着せてもらったんですよね。でもね、後で気付いたら「左前」だったんです。
誰かに指摘される前に気付いたけど、その時は自分で気付いても直せなかった。つまり誰かに指摘されたとしても直せなかったということ。まあ自分で気付いてるから指摘されたら「そうなんだよね~笑」で流しつつも「わたしってなんてダサいんだろう…」と恥ずかしさでいっぱいになったと思う。
まあその時は仕方ないや~別に困らないし!で朝まで存分に楽しみましたけどね。
でもそれ以来、外に出る前に間違いがないか自分でしっかりチェックするようになりました。それだけでだいぶ失敗は減らせます。
だから普段から外に出る前には鏡の前に自分の姿を映してしっかりと身だしなみをチェックする習慣をつけましょう。そして、普段しないような格好をする時は念入りに。何が正しいのかよく分からない時は、他人の人に見てもらうように。
まとめ
結局のところ何が言いたいかというと、間違いを指摘することだけが正しいことではない。間違いは指摘したくなるけれど、必ず相手立場やその後どうなるかまで考えてからにすること。
わたしはお祭りの時に「左前」の人がいても指摘しません。だってその人は左前でも楽しい時間を過ごしているのだから。帯がほどけそうとか、着崩れて困っていたりしたら手を貸しますけどね。
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